2003年、伊万里市山代町に佐賀大学海洋エネルギー研究センターが建設されました。
この施設には30KWの海洋温度差発電実験装置のほか、海水淡水化基礎実験装置やリチウム回収基礎実験装置などの実験装置が設置され、複合的な利用技術の確立を目指して実験が続けられています。
海洋の表層部の温海水と深層部の冷海水との間には約10℃から25℃の温度差があります。海洋温度差エネルギーである熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電システムが海洋温度差発電です。
主な構成機器は蒸発器、凝縮器、タービン、発電機、ポンプで、これらの機器はパイプで連結され、作動流体としてアンモニアが封入されています。
作動流体は液体の状態でポンプによって蒸発器に送られます。そこで表層の温海水によって加熱され、蒸発し、蒸気となります。
蒸気はタービンを通過することによって、タービンと発電機を回転させて発電します。タービンを出た蒸気は、凝縮器で約600~1,000mの深層より汲み上げられた冷海水によって冷却され、再び液体になります。これを繰り返すことによって、化石燃料などを使用することなく海水で発電することができます。
2013年6月には沖縄県久米島に建設した佐賀大学海洋エネルギー研究センター久米島サテライトにおいて、商用化を視野に入れた試験運転が開始。
2015年10月には海洋環境や再生可能エネルギーに高い関心を持たれているキャロライン・ケネディ駐日米大使が久米島サテライトを視察されました。
佐賀大学方式(ウエハラサイクル)を採り入れた海洋温度差発電は世界的にも注目をされ、インド政府やパラオ政府では国家的プロジェクトとして導入されています。
2015年秋の叙勲 《瑞宝中綬章》上原 春男さん(元佐賀大学長)
海洋温度差発電研究の第一人者。
国立大学の独立行政法人移行期に佐賀大学長を務めた。
アンモニアを表層の海水温で蒸気化し発電、深層水で蒸気を液体に戻す「ウエハラサイクル」を考案。島しょ国などで実用化に向けて動き出している。長崎県対馬市出身。(佐賀新聞より)